あらすじ STORY 魔王を倒したその先で、世界は静かに軋みはじめる。
魔王を倒した。
世界は救われたはずだった――。
01 平和の終わり

血と泥にまみれた死闘の末、勇者一行はついに世界に平和をもたらした。数百年ぶりに雲が晴れ、廃墟に朝陽が差し込んだあの朝。誰もがそれを「終わり」だと信じた。

02 英雄たちの日常

英雄たちは、それぞれの日常へと帰っていった。愛する人と寄り添い、故郷へ戻り、森へ帰り、それぞれが命がけの戦いの果てに手にした「当たり前」を生きている。王都では人々が笑い、市場に活気が戻り、子供たちが無邪気に走り回る。世界は確かに、美しく輝いていた。

03 闇の残滓

だが、その光の届かない場所で、何かが静かに目覚めていた。各地に現れ始める「闇の残滓」。人を傷つけるわけでもなく、ただ大地を枯らし、人の意志をじわじわと溶かしていく正体不明の影。英雄たちが命を燃やして守ったはずの世界が、誰にも気づかれないまま、少しずつ侵食されていく。

04 深淵の亀裂

そして、あの決戦の爆心地――魔王城の最深部で。世界とあの深淵を隔てる壁に、禁断の亀裂が刻まれ始めていた。

平和という名の夜明けは、本当の夜明けだったのか。
それとも、もっと深い闇が訪れる前の、束の間の凪(なぎ)だったのか。
守るべきものを抱え、それぞれの場所で生きる人々を、
世界の崩壊が静かに、しかし確実に呑み込もうとしていた。