あらすじ
STORY
魔王を倒したその先で、世界は静かに軋みはじめる。
血と泥にまみれた死闘の末、勇者一行はついに世界に平和をもたらした。数百年ぶりに雲が晴れ、廃墟に朝陽が差し込んだあの朝。誰もがそれを「終わり」だと信じた。
英雄たちは、それぞれの日常へと帰っていった。愛する人と寄り添い、故郷へ戻り、森へ帰り、それぞれが命がけの戦いの果てに手にした「当たり前」を生きている。王都では人々が笑い、市場に活気が戻り、子供たちが無邪気に走り回る。世界は確かに、美しく輝いていた。
だが、その光の届かない場所で、何かが静かに目覚めていた。各地に現れ始める「闇の残滓」。人を傷つけるわけでもなく、ただ大地を枯らし、人の意志をじわじわと溶かしていく正体不明の影。英雄たちが命を燃やして守ったはずの世界が、誰にも気づかれないまま、少しずつ侵食されていく。
そして、あの決戦の爆心地――魔王城の最深部で。世界とあの深淵を隔てる壁に、禁断の亀裂が刻まれ始めていた。